知財戦略構築のススメ

知財戦略

知財戦略の重要性

昨今、知財戦略が重要だとしばしば言われます。では、知財戦略はどのように重要なのでしょうか。

知的財産権には2つの側面があります。企業価値を底上げする武器の側面と、競合相手から身を守る防具の役割です。前者の側面からは、財務諸表上わずか10万円ほどの特許権や商標権は毎期何千万円もの収入を呼び込むことは決して珍しくありません。後者の側面からは、知財訴訟では上場企業では億単位の争いとなることが多く、中小企業においてはきなり「死の宣告」を受けるような事態を回避する意味合いがあります。

知財戦略のスタート地点

知財戦略を検討するためには、まず自社は「攻め」と「守り」のどちらに力点を置くのか、業界のポジションをもとに決めていく必要があります。前者の場合、新しいビジネスモデルをがっちり知的財産権で固めるのがセオリーですし、後者の場合、競合相手が保有する権利をふまえ、いかにその権利をかいくぐるか、その理屈と証拠を揃えることが重要となります。

知財戦略の目的と手段

次に、知財戦略の目的と手段を方向づけていく必要があります。目的としては、①全く新しいイノベーションを起こす、②競合相手に対する既存事業の競争力を向上させる、③自社内の業務を向上させる、といったものがあります。また、手段としても、①知的財産権を発掘・創出する、②知的財産権を活用する、③自社の基盤を整備する、といったものがあります。この中のどの手法を採用するかでこの先の戦略も変わっていきますので、まずは目的と基本的な手段を整理することが重要です。

知財戦略策定に必要な専門性

知財戦略の策定の究極的な目標は、経営理念の実現であるため、経営理念を理解し、これをできる限り直接的に実現させる方向性で考えていく必要があります。目先の個別の競合相手との競争だけを見て考えると、的外れな方向に検討を進めかねません。そのため、ある程度は経営についての素養が必要です。また、知財戦略は、たとえば特許権の活用を検討する場合、特許法の素養は必要ですが、それだけではなく、独占禁止法や不正競争防止法等の競争法、著作権法等の他の隣接法の検討も同時に必要となることが多いです。そのため、法律全般の素養も必要となります。

このように、経営や法律など、知財の枠組みを少し広げた範囲での専門家の意見を聞きながら進めていくことが望ましいでしょう。

終わりに

有形資産は、例えば土地や金(gold)は市場価格が変動しますが、それほど大きなリターンを得る取引の機会を得るのは困難です。しかし、無形資産である知的財産権は一夜にして突如化けます。それをどう味方につけて企業価値を増大させていくか、専門家を交えてしっかり検討を進めることが重要です。

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