契約書作成は奥が深い

顧問契約

「契約書は作っておけ」の意味

口約束ではなく契約書を作っておけ、とはよく耳にする言葉です。口約束だと、証拠がないので相手に約束を履行させられない可能性がある、という理由は多くの方が理解されていると思いますが、この言葉はそれだけにとどまるものではありません。

契約書には定まった形がありません。それは、必要な事項を自由に盛り込むことができるということです。複雑なこの社会の中では、色んなことを想定して、どのような場合にはどうする、ということを丁寧に契約書に明記することで、想定外の事態に陥った際に、どのような結果となるのかできる限りわかりやすくしておくことが望ましいです。これが「契約書は作っておけ」の本当の意味であり、この意味に照らすと、相手が持ってきた契約書にそのままサインしたり、ネット上で拾ったひな形をそのままのかたちで利用するのでは足りないことがわかるかと思います。

ひな形修正のポイント

ネット上にある契約書のひな形を使ってはいけないということでは決してありません。これをそのまま使用するのではなく、実態に即して修正する必要があります。修正のポイントとしては以下のような事項があります。

まず、相手に対してこちらが交渉力を有する場合、個々の条項の内容を有利に変更することが考えられます。代金の支払時期を早めたり、違約金の金額を増額したり、契約の解除をしやすくする(しにくくする)ような修正です。

次に、想定される不測の事態への具体的対応を明記することです。例えば、コロナ感染の拡大により、緊急事態宣言が発出されて契約の目的を達成できない場合、責任を負わないことを明記することなどです。

このほか、契約を解除できるケースや違約金の発生するケースを詳細に多岐に書き出して、明記されていないケースでは契約の解除や違約金の発生はできないと定めることで、契約に基づく処理結果を明確に固定することも考えられます。

契約書の取り扱いが軽い理由

実際上は、契約書の作成に関して、上記のように丁寧に作成されているケースはあまり多くありません。その理由としては、①契約締結を急ぎたい②もめごとが起きても相手とは話し合えると思っている③自分の契約に対する理解が当然であり、文字に書き起こすまでもないと思い込んでいる、といったものが挙げられます。しかし、契約トラブルは、ちょっとした注意で簡単に回避できる反面で、一度トラブルになると非常に大きな損失を生じかねません。そのため、専門家にもチェックしてもらい、丁寧にまとめる必要があります。

取り扱い分野の広い弁護士がお勧め

こうした契約書チェックは、事業の運営にあたり、どのようなリスクが想定されるかを想像し、その中から重要なものを漏れなく導き出す作業が大きなウェートを占めます。このリスクの洗い出しには経験と想像力を要するため、できる限り幅広い知見を有している専門家に見てもらうのが望ましいです。また、相手方と交渉する場合、直接交渉する権限を有する弁護士がお勧めです。自身の業務分野についてよく理解し、幅広い知見を有している弁護士に相談しながら丁寧に契約書チェックをすすめてみてください。

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