リスクマネジメントの具体的な手順

リスクマネジメント

リスクマネジメントとは?

企業のリスクマネジメントの必要性が強調されるようになりました。

リスクマネジメントとは、企業経営において損失を生じうるリスクを網羅的に把握し、その中の重要なリスクに対して対策を講じることにより、その影響を事前に回避もしくは事後に最小化する対策を講じる一連の経営管理手法のことです。

リスクの種類

リスクは大きく2つに分類されます。損失のみを受けて利益は得られないマイナス要因のみのリスクと、損失を受けることもあれば、利益を得ることもある双方向要因となるリスクです。

 リスクの種類①:マイナスのリスク

マイナスのみのリスクとは、火災や台風、地震など自然災害のような偶発的事故や人為的ミスを起因とするリスクです。 

リスクの種類②:双方向要因のリスク

マイナスとプラスのリスクとは、税制改正や景気、消費者動向変更など、政治情勢や経済情勢の変動による経営環境の変化に伴うリスクのことです。

リスクマネジメント 4つの手順

近年、リスクマネジメントの整備が進み、プロセスが明示されるとともに、企業の業種や特性に伴ったリスクマネジメントを高いレベルで行う企業が増えています。リスクマネジメントは一般的に次の4つの手順で進めます。

①リスクを発見(特定)する

まず、想定されるリスクを目に見える形で列挙し、リスト化していきます。このリストアップは一部のメンバーで実施するのではなく、できるかぎり組織全員を巻き込んで行いましょう。これにより、各メンバーに、どのようなリスクがあるから気を付けなければならないか認識させることができるからです。

リスクには様々な種類があります。この段階ではひとまず、種類ごとに多面的に洗い出すよう心がけるとよいでしょう。

②リスクを分析・評価する

リストアップしたリスクの「影響度」や「発生頻度」など特定して評価していきます。難しいようであれば、「大」「中」「小」に分類する方法でもよいです。こうして個々のリスクの重要性を見える化し、優先順位をつける事が大切です。リスク分析で一般的な手法として、「PIマトリックス(Probability / Impact マトリックス)」があります。

リスク分析においては「影響(インパクト)の大きさ」を重要視する傾向がありますが、影響力が小さくても発生率が多いリスクについては軽視せず、しっかり対策を練ることが重要です。

③リスクに対応する
リスクの優先順位が設定できたら、高いと評価された順にどのように対策するか、低減措置を考えていきます。参考として、リスクは大きく「リスクコントロール」と「リスクファイナンス」に区分され、それらに合わせた取り組みを検討するといいでしょう。

<リスクコントロール>

大きなリスクになるのを金銭面で対処し、防ごうとすることです。

例:意思決定の撤回、リスクを生む要因を取り除くリスク発生頻度を軽減させるためのマニュアル策定、緊急対応時のルール策定など

<リスクファイナンス>

保険等により、大きな経済的損失を補填することです。

 例:損害保険加入など他社と合意に基づきリスク分散する、期間損益でのコスト吸収など損出を受容する 

④モニタリング及び改善
実際に大きな事故につながった事例として対策が風化し、モニタリングと見直し改善が全く実施されていなかったという場合もあります。
リスクマネジメントが適切に実施されているか、目的と目標が達成できているのかを継続的に検証することが重要です。定期的に改善点を見出すモニタリングと評価を実施しましょう。

まとめ

リスクを事前に管理するためには、まずリスクを発見し、認識することから始まります。これはマニュアル業務ではなく、創造性や多くの人の知恵を必要とするものです。リスクマネジメント担当者はできる限り会社全体を巻き込み、各部署で想定されるリスクを洗い出し、リスクマネジメントを推進するのが望ましいです。

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