倒産前の資産換金は慎重に

事業再生

換金行為の重要性

資金繰りや収益性が苦しく、負債の整理が必要と感じた場合、特に注意しなければいけないのが、それ以降の財産の換金です。当面の資金繰りのために会社財産を割安で処分しても、後で管財人に否認されて、契約を破棄されてしまうおそれがあります。

そのため、財産の換価は慎重に行わなければならないのですが、具体的な市場価格のあるもの以外は、いくらが適切な金額なのかと迷われる方も多いと思われます。

価値評価の手法

  • コスト・アプローチ

 財産の価値評価にはいくつかの手法があります。最も簡単なのはコストアプローチ。その財産を取得するためにいくら要するかという考え方です。たとえば中古の機械などは、その購入金額があり、毎期、税法に従って減価償却をしていると思います。購入金額から減価償却累計額を控除した残額を、その中古機械の価格とする考え方です。

  • マーケット・アプローチ

 価格を算定したい財産が市場で取引されているならば、その金額を財産の価格とするのは分かりやすいです。仮に全く同じ財産が市場で流通していなくとも、同種の、あるいは類似した財産が市場で取引されていれば、その価格を参照して、金額を定めることが可能でしょう。たとえば20年もののビンテージワインが10万円で取引されている場合、手元に22年ものの同種のワインがあればその価値は10万円を少し上回る水準だと考えることができます。

  • インカムアプローチ

 ある財産が将来確実に収益を生み出す場合、その総額をもってその財産の価値とする考え方があります。例えば残存耐用年数3年の中古機械を年額20万円で3年間、同業他社に貸出し、契約終了後は廃棄する、ということが契約で明確な場合、この機械の価値は(20万円×3ー廃棄費用)と考えることとなります(正確には時間的価値を考慮して、各年度のキャッシュフローに個別の割引率を乗じるのですが、ここでは省略します)。

財産評価の実際

実際に財産の価値評価をする場面では、このうちのどれかが完全に適切な手法だとぴったりはまるケースは少なく、複数の手法でそれぞれ金額を算定したうえで、これらを過重計算するやり方が多く採用されます

まとめ

このように、財産の価値評価にはいくつかの手法があり、やり方によって金額が大きく異なることもよく起こります。正確な計算を行うためには、当該財産を取り巻く、事業の理解、契約の確認、キャッシュフローの推算、加重割合の算定など、広い範囲にまたがった検討が必要になることがしばしばあります。当事務所では裁判所における知的財産権の価値評価人も務める専門家がこうした横断的な業務をワンストップで提供いたします。お困りごとがございましたら、お気軽にご相談ください(初回相談無料です)。

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